死亡退職金の扱い
死亡退職金の受給権者は、普通の場合、法律や会社の退職金規定などで定められています。
公務員の場合は法律で、会社の場合は就業規則や退職金規程などで定められた人に対して支給され、その目的は故人の遺族などが生活に困らないようにすることにあります。そのため受給権者の範囲や順位はそれぞれの決まりの中で定められていることが大半です。
この死亡退職金は、場合によっては大きな金額となることがあり得ます。そのため、この死亡退職金が相続財産(遺産)に含まれるのかということが問題となることがあります。
受給権者が法律や内規等で定められている場合には、受取人は相続人としてではなく、固有の権利
として死亡退職金を受け取るものと解されています。
他方、こうした規定がない場合には、相続財産となるか受取人の固有財産となるかは、個々のケー
スによる判断となりますが、審判例は相続財産とする例が多いようです。
なお、生命保険金と同じく、死亡退職金を特別受益とするか、特別受益でないとするか判例は分か
れています。
■相続税の課税対象になる死亡退職金
被相続人に支給されるべきであった退職手当金や功労金などを受け取ったときは相続税の課税対象になります。
1 相続財産とみなされる退職手当金等
被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(これらを「退職手当金等」といいます。)を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。
2 非課税となる退職手当金等
相続人が受け取った退職手当金等はその全額が相続税の対象となるわけではありません。
全ての相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)が取得した退職手当金等を合計した額が、非課税限度額以下のときは課税されません。
非課税限度額は次の式により計算した額です。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した退職手当金等には、非課税の適用はありません。