遺言の制度とは
遺言とは、自分が亡くなった後に大切な財産を最も有効・有意義に活用してもらうために遺しておく書面です。
遺言書がある場合、相続人が遺産の分配について話し合う必要はなく、遺言書に従い、相続手続を済ませることができます。また、遺言書で遺言執行者を選んでおけば、遺言執行者が、遺言書の内容を具体的に実現してくれます。
遺言のないときは、民法が相続人の相続分を定めていますので,これに従って遺産を分けることになります。
<遺言の種類>
代表的な遺言の種類を紹介させて頂きます。
・自筆証書遺言
遺言者本人が全文を作成する。最も簡単な遺言書です。
自筆証書遺言は費用もかからず、いつでも書けるなど手軽に作成できるため、数多く利用されています。家庭裁判所の兼任の手続きが必要です。注意点として、紛失や変造の恐れがあり、本人が書いたかどうかで争いになるケースもあります。
・公正証書遺言
公証役場で公正証書として作成される遺言書です。作成には遺言者以外に二人以上の証人が必要です。本人が口述し、公証人が作成します。原本は公証役場で保管されるため紛失や変造の恐れがなくなります。
・秘密証書遺言
遺言者本人が本文を作成し、遺言書の「内容」を秘密にしたまま、証人二人と一緒に公証役場へ行き、遺言書の封印を行います。
■一般危急時遺言一般危急時遺言
病気等で死期の迫った人が口頭で遺言をし、証人がそれを書面化する遺言の方式です。
三人以上の証人の前で口授します。 署名、押印が必要です。
■難船危急時遺言
遭難した船舶に乗船中の人が、死期が迫ったときに行う遺言です。
二人以上の証人の前で口授します。署名、押印が必要です。
■一般隔絶地遺言(伝染病隔地者遺言)
伝染病などが原因で交通手段が遮断された場所にいる人が行う遺言です。
警察官一人、証人一人以上の立会が必要です。
■船舶隔絶地遺言
船舶中の旅客や乗務員が行う遺言です。
船長又は乗務員一人以上、証人二人以上が必要です。
※飛行機に乗っている方は、船舶に乗っている方と違って短時間で隔絶状態は解消するので、このような方式で遺言を残すことはできません。遺言を残す必要がある場合は、自筆証書遺言を作成するか、緊急事態であれば一般危急時遺言によって遺言を残すことができます。